理事長挨拶

社会の縮図としての大学野球部

愛知大学野球連盟
理事長 新井野 洋一

平成30年春季リーグ戦の開幕にあたり、ご挨拶申し上げます。

大学野球部は社会の縮図だと言われます。どんな社会でも、人間は1人では生きて行けず多くの人々や集団、社会とのかかわりが必須であり、大学野球部も例外ではないからです。

100年以上前、A.F。ベントリーは、社会を安定した状態にすることとは集団間の対立と相互作用であると述べ、社会の成り立ちと動きは様々な人々が織りなす圧力と抵抗の過程だと結論付けました。要するに、私たちは誰かあるいは何らかの集団に支配され、それに服従することで生き続けるということです。大学野球部の場合、野球部という集団と監督等の指導者が支配側であり、部員やその家族が服従側となります。大切なことは、部員と家族が進んで服従するような正統な支配が実現されることです。当然、勝利という目標達成のためには上から下へという命令システム(=官僚制)が重要ですが、決して不法な暴力や武力、威圧による支配であってはならないのです。したがって、体罰やハラスメント問題などは正当な支配の結果でないことが再認識いただけるでしょう。

M.ウェーバー(1864-1920)は、支配される側が素直に従う命令の正当性に関連させ、正統な支配(=非暴力的支配)には(1)昔から尊重され妥当とされてきた伝統的支配、(2)みんなで適正に制定した規則に基づく合法的支配、(3)特定の人物に備わった超人間的な資質に基づくカリスマ(=神の恩寵)的支配の3つあると言っています。しかし、(3)のカリスマ的支配にはかなり高度な資質や才能、人格などが必要であり、実現は簡単ではありません。民主主義社会では(2)合法的支配が普通だと思いますが、単純に多数決で支配しようとした時、野球部と指導者が蓄積してきた素晴らしい遺産や魅力が失われることも少なくありません。

ところで、近年、指導者側と選手との世代ギャップが大きくなっているように思われます。超高齢社会、ITとWEB、AIが猛スピードで進展する時代の流れが背景となっています。支配とか服従とかを考える土台が大きく変化しているのです。野球部の指導者は伝統的支配の押し付けだけでは通用しないことに気付いているはずです。時代の流れに熟知した合法的な支配方法の開発、採用に努力しましょう。一方、部員やご家族の皆さんは、盲目的な服従による不法・不当な支配を容認しない態度を堅持しつつも、不信や反感だけに終始することなく、部員が自主的・自発的に従おうとする現代的な野球部像とは何かを追求していただきたい。

難しい話になりましたが、大学野球部生活が人生を学ぶ機会として大きな意義を持っていることに異論はありません。そして、望ましい野球部づくりが圧力と抵抗 の過程だからこそ、支配側と服従側の双方が一緒に考え、協働で完成させていく責任があると訴えるものです。これは、愛知大学野球連盟の将来を考える際にも自覚されねばならないことであります。

大学野球ファン、選手のご家族、協賛企業、球場関係者の皆様には、今後ともご支援・ご声援とともに、大学野球のあり方への忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げます。