理事長挨拶

Everything is in practice

愛知大学野球連盟
理事長 新井野 洋一

平成28年秋季リーグ戦の開幕にあたり、ご挨拶申し上げます。

 「すべては練習にある」は、サッカーの神様(3度のW杯優勝、通算1281得点)と称されるペレ(Pele:本名エドソン・アランチス・ドゥ・ナシメント)の言葉とされています。これと同じように、日米通算4000本安打を達成したイチローは、「練習で100%自分を作らないと、打席に立つことは出来ません。自分の形を見付けておかないと、どん底まで突き落とされます」「練習で作った形を100%としたら、70%や80%の力で結果を出さないといけません」と表現しています。いずれにしても、天才だと言われている名選手たちですら、やはり練習に練習を重ねてその地位を築いているわけです。
 ところで、野球界では、少年野球からプロ野球まで、「練習は嘘をつかない」という教えがあります。現実には、いくら練習しても上手くならないことがあったり、たくさん練習しても勝てなかったり・・・いわば、嘘をつかれるようなこともあります。しかし、よく考えてみると、私たちの身の回りにあるモノや起きている出来事で「完全」はありません。大切なことは、完全を求める姿勢とプロセスです。「すべては練習にある」は、”Practice Makes it Perfect”とでも解釈すべきなのでしょう。そもそも、practiceの第一の意味は慣行や習慣です。そして、第二には実行、実施、実践、実際という意味合いがあります。要するに、practiceとは、常にやることであり、「継続は力」が前提と言えます。
 問題は、practiceの中身というか練習方法をどうするかになります。選手自身の心技体やチーム力の向上という目標にとって手がかりになることにはさまざまなことが挙げられます。方法にはさまざまな側面があるということです。(1)どのような考え方(means)に基づいて練習の在り方をとらえるか、(2)どんな観点・見通し(perspective)をもって練習計画を立てるか、(3)いかなる取り組み方(way)で練習を進めるか、(4)具体的にどのような内容をどれだけ(method)練習するかということです。つまり、練習の方法とは、(1)~(4)の側面すべてが整えられ、組み合わされることが重要だと言えましょう。これがなかなか難しいことで、何分間の体幹トレーニングを週何回やるかといった科学的方法(method)がとられていても、それがどんな見通し(perspective)の中で実践される方法なのかが理解されない限り、練習効果は期待できません。また、たとえ緻密な練習計画が立てられ(perspective)、練習実践の順番や責任体制(way)がしっかりしていたとしても、チームや選手が何に向かって練習するのかという共通理解(means)がない限り、形式的な練習になってしまう恐れがあるといった具合です。
 このように、練習は奥深いものです。だから、練習で頭と体と心を100%いや120%使い切り、練習が楽しいというところまで突き詰める努力が必要なのでしょう。それが、もしかしたら、野球生活全体を見つめ直し続けることにつながるようにも思います。試合シーズンに入ってからも、基本は練習です。学生生活を満喫しつつも、主体性を持って、練習の時間をつくり出し、練習の場所を工夫し、練習相手との関係を活用し、一生の想い出となり将来の生活の礎となる練習(practice)を追求されることを期待します。